東日本大震災から5年の11日、津波などで多数の犠牲者が出た岩手県の地元紙「岩手日報社」(盛岡市)の谷藤典男編集局次長兼読者センター長(56)ら3人が松山市大手町1丁目の愛媛新聞社で講演し、震災の取材を通して見えた教訓や、備えの大切さを訴えた。
 谷藤次長は当時、内陸部の遠野市に設けた沿岸部の被災地の取材拠点で、現場を統括。食料やガソリンなどが不足する中、地元の商店や給油所の協力を受けたエピソードを明かし「地域とのつながりを大事にしてきた地方紙の強みが生かされた。地元に支えていただいた」と感謝した。
 犠牲者の避難行動を時間の流れに沿って地図上で確認できる岩手日報社などが制作したデジタルアーカイブも紹介。陸前高田市では、津波に襲われた市民体育館に次々に集まっていく様子が再現され「地域ごとにどのような状態で亡くなったかが分かり、今後の人命救助につなげられる」と活用を呼び掛けた。
 「岩手日報社員 震災講演会」は22日午前9時から、愛媛CATVイベントチャンネルで放送します(再放送あり)。